ワンコンテナミッション VOL.2

ワンコンテナミッション VOL.2

ONE CONTAINER MISSION VOL.2

ワンコンテナミッション VOL.2

Movement あらたな動き
 
2017年10月、辻堂に根ざして20年目を迎えた今シーズンは新しい変化が起こっています。

昨年からスタートしたワンコンテナ・ミッションに後押しされるようにCup of Excellence国際品評会ホンデュラスにおいて、初のゲイシャ種で優勝したEl Puente農園を大会史上最高値で単独落札してしまったのです。審査会に参加したオーナーは、ファイナルラウンドで感動した体験が忘れられず、どこまでもビッドし続けてしまいました。
 
辻堂の小さなコーヒーロースターが大それた快挙を成し遂げた事は、ホンデュラスでも話題になりました。これがひとつの転機となって100年以上続く、由緒ある一流の農園との繋がりが生まれました。
 
これまで買い続けて来たサンタバルバラと新たにチナクラの素晴らしいコーヒーを合わせて、なんと1コンテナを仕立てる事になったのです。1年経たないうちにミッションが達成されてしまいました。
 
Backbone
 出会いに感謝
 
2008年Cup of Excellence ホンデュラス国際品評会に審査員として参加したとき、サンタバルバラにあるペニャブランカという小さな町を1人で訪問しました。そこでの生産者たちとの出会いが、このミッションと大きく繋がっています。
 
当時、彼らは品評会で上位入賞を果たし世界の有名なロースターからの引き合いが数多で、ホンデュラスで最も注目される存在でした。それでも彼らは驕ることなく、コーヒーといつも真摯に向き合い、家族や仲間を大切にする素朴で温かい人たちでした。彼らは私たちのような小さなロースターにも快くコーヒー豆を分けてくれました。「少ししか買えなくて申し訳ない。」と彼らに伝えると、「僕たちも皆、家族で農園を営んでいる。君たちと一緒だよ。僕たちのつくったコーヒー豆をきちんと理解して、評価してくれるなら最大限の努力をして、喜んでコーヒー豆を分けるよ。」
 
私はその時の喜びと感動、そして感謝の気持ちを決して忘れることはありません。深い繋がりを持つことができたホンデュラスの生産者たちとの関係をもっと築いていきたいと強く願っています。
 
Challenge 挑戦
 
私たちのようなマイクロロースターと呼ばれる小さな焙煎店はたくさんあります。さらに世界中には想像を超えるスケールのロースターもたくさん存在します。コーヒーの歴史や文化がライフスタイルに溶け込んだ消費層が厚い欧米諸国と比べて、大手主導型のコーヒー消費が強い日本では、私たちが求める土壌はまだまだ整っておらず、仕入れ量もほど遠いのが現状です。高品質なコーヒー豆を継続的に安定して買い付けるためには、海外のロースターに負けないボリュームが必要です。
 
品質の高いコーヒー豆をつくる意欲的な生産者たちは、高い志と誇りを持っています。彼らは人生をかけてコーヒー豆づくりに取り組んでおり、品質の良さを理解し、継続してたくさん買ってくれる、信頼がおけるバイヤーを求めています。
 
私は素晴らしいコーヒー豆と出会ってから今日までたくさんの経験をさせてもらった中で、いつも思っていた事があります。それは、いつか海外のロースターと肩を並べるくらいのボリュームを扱えるようになりたい、素晴らしい生産者のもとからワンコンテナを仕入れたいということでした。
 
Mission 使命
 
コーヒー豆は、生産国からコンテナに積まれ輸入されます。1台のコンテナには、コーヒー豆の麻袋を約300袋(1袋×60kg)積むことができます。これは焙煎豆にすると約15トン、お店の販売コーヒー豆8oz(226.7g)に換算すると、なんと約66,000袋分に相当します。
 
私たちが、ひとつの生産国から通常品質のコーヒー豆と混載せず、トップクオリティのものだけでワンコンテナを一杯にすることは、本当に夢のような話です。多くの人は、いろんな国から好きなコーヒー豆を必要な量だけ仕入れた方が良いと思うでしょう。
 
しかし、これからのスペシャルティコーヒーと私たちはどう繋がっていく必要があるのかを考えた中で、このミッションは大切な一歩になると考えています。こうした想いを、きちんとお客様にお伝えして、素晴らしいコーヒー豆と生産者たちについて理解してもらうことが本意であると思っています。
 
Impression 感動を共有したい
 
私はロースターとして大切にしていることがふたつあります。ひとつは、生涯をかけてコーヒーの仕事をしようと決断させてくれた素晴らしいコーヒーとの出会いを忘れないこと。もうひつは、遠く離れた生産者たちが一生懸命つくったコーヒー豆を賞賛し、そこに最大限の努力をして応えるということです。
 
こうした素晴らしいコーヒー豆を、数あるお店の中から当店を選んでいただきたい、感動を共有したい、継続的にホンデュラスでワンコンテナを仕入れたい、という想いから2016年11月より全てのブレンドにホンデュラスのコーヒー豆を使っています。素晴らしいテイストバランスを持ったコーヒーは、必ず皆さまにご満足頂けることをお約束します。
 
私たちにとって大きな挑戦であるOne Container Missionを 引き続きどうぞよろしくお願いします。
 
27 COFFEE ROASTERS / CORNER 27 coffee works
有限会社かさい珈琲 代表 葛西 甲乙